病や災いを病や災いを鎮める祈りの象徴“山車”鎮める祈りの象徴“山車”

 先日、4年ぶりに気比さん祭りが開催され、つるがの山車も青空の下曳き出されました。
祭りの象徴ともいわれる山車巡行ですが、敦賀を含め、全国各地で行われる山車の祭りの起源は、京都の祇園御霊会(祇園祭の基となった神事)といわれます。
 昔は、流行り病や災いは御霊(怨霊や疫神)の祟りで起こると考えられ、それを町の外へ追い出すために、長い鉾や高い木、山をかたどった飾り物などに御霊を依り付かせ、川や海に流したり壊したりしたのが山車の祭りのルーツだと考えられています。
 敦賀では、発祥は定かではありませんが、室町時代の末期頃には存在したとされ、商人達の豊かな財力もあって、どんどん豪華になり、武者飾り等の趣向が人々を驚かせ楽しませるものへと変化していきました。江戸時代に敦賀の様子を書いた『遠眼鏡』には、一つの山車を5百人もの人が曳き、近国から大勢の見物人が訪れ賑わったと記されています。
 そうして、だんだんと山車に疫病退散を祈る事がなくなっていったと思われます。ですが、病気や災害を鎮めたい、という人々の切なる願いは今も昔も同じです。