敦賀市の考古資料の大部分は教育委員会文化振興課分室で保管していますが、そのうち博物館収蔵庫での保存が望ましい鉄製品などの資料や、常設展で展示中の資料は博物館で管理しています。以下いくつかの常設展示の内容をご紹介します。

 考古資料は発掘されて終わりではなく、研究者をはじめとするたくさんの人の目に触れて初めて資料としての意味を持ちます。発掘後、文化財保護のために保管されることはもちろん大切ですが、多くの人々の目に触れる博物館展示は、発掘成果を市民の方々と共有するために重要な役割を果たしています。ここで多くの人に遺物を見てもらうことが、資料についての発見の機会を広げることになるのです。

深山寺経塚出土の銅鏡(平安時代)

 深山寺経塚群からは合計26面の銅鏡が出土しています。うち24面が日本国内で生産された日本的な文様を持つ和鏡、2面が中国大陸で生産された湖州鏡です。

衣掛山古墳群から出土した金銅装耳環 (古墳時代)

 古墳に埋納されていた副葬品の耳飾りです。衣掛山古墳群からは全部で12点の金銅製、銀製の耳飾りが出土しています。

野坂岳出土のナイフ形石器(旧石器時代)

 平成元年に野坂一ノ嶽の標高700m地点の登山道の脇で発見されました。敦賀市内で見つかった最古の考古遺物です。遺構の存在が想定されましたが、現在までの追加調査では遺跡は発見されていません。

大町田絵画土器片(弥生時代末~古墳時代初頭)

 この土器片は土坑(穴)からその他の土器片と一緒に見つかっています。

 完形の土器の4分の1程度しか残存していませんが、甕もしくは鉢だとされ、土器の成分から在地(敦賀地域内)で作られたものだと考えられています。鳥の姿をした人物が2体描かれており、昔の祭祀の様子を描いたものと推測されています。