西福寺御影堂は、阿弥陀堂、書院及び庫裏と並んで国の重要文化財に指定されています。また書院、阿弥陀堂から望む庭園は、国の名勝に指定されており、西福寺は建物と庭園とが一体となった、豊かな風致を創出していることに高い評価を受けています。
現在の庭園と建物の配置になったのは文化5年(1808年)、御影堂が建立した時です。ちょうど北前船が盛んになってきた時期で、敦賀湊は日本海沿岸の諸都市との流通により経済、文化の交流を深めていました。建立時に作られた棟札には、信徒に加え船主や問屋などの商人の名を見ることができます。
御影堂の中に入ると、内陣に用いられた太い丸柱や、天井板で用いられている長さ約15m、幅1m弱もある15枚の杉板など、豪快な部材に圧倒されます。特にこの天井板は、南越前町赤荻の信徒の寄進によると伝わり、舟で板を敦賀まで運んだ際に帆柱に祀っていた金比羅大権現は、御影堂と阿弥陀堂をつなぐ四修廊下の一角に祀られています。
御影堂が建てられてから200年以上が経過しましたが、建物からは建立当初の敦賀の様子や、当時の人びとの思いを知ることができます。これを未来へ繋いでいくため、西福寺では建物の大規模な修復が予定されています。秋は西福寺庭園が紅葉で鮮やかに彩られる季節です。美しい風景と共に、過去から未来へ続く時間に思いを馳せてはいかがでしょうか。