
元禄2年(1689)、『おくのほそ道』に描かれた長い旅の終わりごろに松尾芭蕉は敦賀を訪れています。中秋の名月前夜に氣比神宮を訪れて遊行上人の故事を語り、また色ヶ浜に船を走らせて秋の風情を味わいます。福井から同行した旧知の等栽(とうさい)(洞哉)とともに地元の俳人とも交流し、いくつも発句を残しています。
当時の敦賀の俳人たちはすぐさま芭蕉の弟子になることはありませんでしたが、芭蕉の没後、次第に芭蕉を慕う俳人たちが増え、敦賀でも独自の蕉風復興、芭蕉顕彰活動に尽くしています。芭蕉の来敦は間違いなく敦賀の俳諧史に大きな足跡を残したのです。
古くからの湊町・敦賀では京都の影響を受けて文芸も盛んであったことが想像されます。特に江戸時代には俳諧ばかりでなく狂歌や和歌でも多くの人が活躍しました。今回はそうした敦賀の人々の活動の一端を示す資料をご紹介します。
展示概要
会期:令和7年8月27日(水)~10月13日(月・祝) (同時開催:天狗党関係資料展)
会場:敦賀市立博物館
開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(9月15日、10月13日を除く)、9月16日(火)
入館料:一般300円/高校生以下無料

松尾芭蕉所用竹杖(敦賀市指定文化財)


蕉翁宿句帳(蕉翁宿関係資料) 敦賀市立博物館