京都画壇の隠れた実力者・内海吉堂の代表作が集う没後初の展覧会
内海吉堂(うつみきちどう・1850-1923)は、明治から大正時代にかけて活躍した敦賀出身の南画家(なんがか)です。画家一家の三代目にあたる吉堂は、幼少期に多賀(滋賀県)の医師・小菅兎峰(こすがとほう)の元で漢学を学び、絵は幕末明治を代表する塩川文麟(しおかわぶんりん)に学びました。明治10年(1877)から6年間、東本願寺の上海別院を頼りに中国へ渡って同地の文人たちと交流し、帰国後は南画家として京都で活動しました。明治という新しい時代の到来によって日本美術にも様々な変革が求められましたが、そんな時代のなかで、吉堂は京都青年絵画研究会や日本南画協会等諸美術団体の活動に関わり、展覧会にも出品、受賞するなど同時代の画家たちと共に活躍しました。また、円山四条派の幸野楳嶺らとともに東本願寺御影堂の障壁画制作を任された隠れた実力者なのです。
本展では、吉堂没後100年を記念して、吉堂の初期から晩年までの作品を展示いたします。東本願寺障壁画作成時の下絵や、文部省美術展覧会(文展)に出品した作品、今回再発見となった作品など、新出の作品も交えて吉堂の画業をご紹介いたします。あわせて、彼の活動を支えた人々や、上海で親睦を深めた北方心泉(きたがたしんせん)ら文化人との交流を示す資料もご紹介します。
吉堂が描く上品で華やかな花鳥画から、晩年の貫禄ある山水画まで、多彩な絵画の世界をぜひご堪能ください。
展示概要
[会期]令和5年9月14日(木)~11月5日(日)
前期:9月14日(木)~10月9日(月・祝)
後期:10月11日(水)~11月5日(日)
※一部資料は上記日程外での展示替を行います
[休館日]月曜日(9月18日、10月9日を除く)、9月19日(火)、10月10日(火)
[会場]敦賀市立博物館2・3階展示室
[入館料]一般300円、団体(20名以上)250円、高校生以下無料
◎ 9月17(日)、10月15日(日)は無料開館
◎ 11月3日(金・祝)は関西文化の日で無料開館!
[主催]敦賀市立博物館
[助成]芸術文化振興基金、公益財団法人三菱UFJ信託地域文化財団
◆広報チラシ(PDF)は下記リンクからダウンロードいただけます。
◆展示リスト(PDF)は下記リンクからダウンロードいただけます。
※展示の内容は予告なく変更となる場合があります。
関連イベント
■記念講演会 「内海吉堂と「中国」―画業と生涯からー」
[講師]東京大学東洋文化研究所教授 塚本麿充 氏
[会場]きらめきみなと館 小ホール(敦賀市桜町1-1)
[開催日]10月28日(土) 13時30分~
申込不要/参加無料/定員100名(先着順)
‣ギャラリートーク(学芸員による展示解説)
[開催日]9月24日(日)、10月14日(土) 各日14時~
申込不要/参加無料(要入館料)
‣ワークショップコーナー
会期中、博物館地下にて工作体験ができます(参加自由)
展示構成
第1章 吉堂のルーツ ―故郷と師―
第2章 憧れの中国へ ―文人たちとの出会い―
第3章 南画家 内海吉堂 ―初期から晩年まで―
第4章 雅友との交わり
主な出品作品
内海吉堂 嘉永3(1850)年生―大正12(1923)年没
敦賀出身。幼少期に滋賀県多賀町へ移り、医者小菅兎峰(こすがとほう)に漢学を学ぶ。絵は四条派の塩川文麟に師事。明治10(1877)年から6年間中国へ渡る。帰国後、南画家として京都を拠点に活動。京都青年絵画研究会審査員、京都陶器会社工業課長、日本南画協会評議員などを務める。明治28(1895)年、東本願寺御影堂の障壁画を制作。内国勧業博覧会、日本絵画共進会、文展等の展覧会に出品し受賞を重ねる。敦賀や近江の商人らとも交流し、支援された。